スケールはアルファベットのようなもの。フレーズは単語のようなもの。アルファベットをランダムに並べても会話=セッションににならない。ちゃんと単語を組み合わせてアドリブを作らないと。
などという例え話があって、もっともらしいようだけど、ちょっと考えると変だよね。
「あらー奥さん、こんにちは。今日もいい天気」
「そうですね。ほんといい天気」
「今日はどちらへ?」
「ちょっと池袋まで」
これがアドリブか?
この例に従えば、ボキャブラリが多い=覚えたフレーズが多いひどアドリブが上手いことになる。正しいと言えば正しいが、そればかりじゃないだろう。ありきたりの定型フレーズ繰り出したってしょうがないだろうと。
ま、例え話に真剣に突っ込んでもしょうがないんだけどね。
ありきたりのフレーズをガンガンプレイするのは、それはそれでカッコいい。例えばオスカー・ピーターソンとかね。彼のアドリブに独創性は感じないけど(僕は)超テクニックで繰り出されると、圧倒されるよね。他にも準A級ピアニストはこういうプレイスタイルが多いと思う。いちいち名前は上げないけれど。
キース・ジャレットは、敢えてそう言う「定型フレーズ」を否定していくスタイルである。あれ?何やってるんですか?と頭がハテナとなることもあるが、ハマるとめちゃくちゃカッコいい。美しい。まさに瞬間のクリエイティビティである。
まあ、僕がフレーズの仕込みに抵抗があるのは、僕の技術ではフレーズをいちいち仕込んでたらセッションに行く時間がなくなってしまうから、というのもある。ある意味では「ひがみ」かもしれないね。
技術もないのに徒手空拳でアドリブに向かうのもドンキホーテ的で面白いが、やっぱり少しは方針があった方がやりやすい。例えばDm7の3度、ファから入ってみるか。とか、アルペジオを使ってみようか。とか。
僕も少しはフレーズを仕込んでみようかと思うのだ。その方が聴いてる方も安心するしね。