こんなふうに弾けばオスカー・ピーターソンみたいに弾けるよ!という動画である。
「たった70年練習すればね!」という揶揄のコメントと、「僕だったら140年だな」というサブコメントがついた。そらそうやね。
ピーターソンのスタイルは、
独創性とかクリエイティビティはちょっと脇に置いてスピードとグルーブに全振りしました
ものである。クラシックで言えば初期のフランツ・リスト。初心者に「弾けるよ」と言ったらそりゃ嘘だよ。
でもさ、こういう動画をみると一瞬はモチベーションが上がるから無駄というわけではない。実際アクセス数も多いし。
しかしまあ、僕の意見では、リスト、ショパンが弾けるのでなければ超絶技巧のジャズプレイを目標にしてはダメだ。残念だけどね。いずれは心が折れる。続けられない。
それから、異論もあろうが、ピアノの技術がない人は「常套フレーズを12キーで練習してアドリブで繰り出す」という練習はやめたほうがいい。フレーズ練習に時間がかかり過ぎる。
さらに僕は
ピアノの技術がない人は「常套フレーズ」を使わない方が良い
とも言いたい。
常套フレーズについては以下のようなことが言われる。
「チャーリー・パーカーだって常套フレーズ使ってる」
「アドリブはコミュニケーションのようなもの。『儲かりまっか』『ボチボチでんなあ』という定型やり取りも有効だ」(この例えよく聞くんだけど、考えてみると変なんだよな)
チャーリー・パーカーが参考にならないのは当然として、技術のない人が定型フレーズを繰り出すのはフランスに行って「フランス語会話集」を棒読みするようなもので格好がつかない。「あー、頑張ったね」という感じ。
それよりも身振り手振りで冷や汗を書きながらめちゃくちゃにコミュニケーションする方が聞いてる方もスリリングで面白いのだ。
やっぱりスケールとコード。それが大事である。