比喩は役に立たない

アドリブは会話のようなもの。会話をするためには基本的なボキャブラリに習熟していないとだめ。だからまずはシンプルでいいからフレーズを身につけよう。

気の利いた比喩である。しかももっともらしい。でも、この比喩は楽器かつアドリブ初心者には役に立たないし、有害ですらある。って何度も書いてるけどね。

楽器の習熟はわきに置いておく。初心者がアドリブを勉強するのに大事なのはまずはコードとスケールの感覚を身につけること。これに尽きる。その感覚がないとせっかく身につけたフレーズの意味が分からない。b3とかb7とかね。もちろん移調だってできない。天才であれば話は別かもしれないけれど。

フレーズ練習にケチをつけているわけではない。むしろ正しい練習である。でも「アドリブは会話だ」という比喩に囚われてしまうと「できるだけ単語=フレーズを数多く覚えなきゃ」とか「正確にフレーズを覚えなければ」などという間違った方向に努力してしまう。だからこの比喩は有害なのだ。そんなことよりとにかく人前で音を出すのが大事なのである。

フレーズはアドリブの部品というよりも、もっと音楽的引き出しの深くに刻み込まれるべきものである。次々に単語を覚えるようにフレーズを蓄積しようという練習は、努力の方向を間違えている。それよりも一つか二つのフレーズを深掘りする方が、結局は引き出しを増やす結果になるのではないか。まだ僕自身練習中だから正しいか分からないが、そんな確信がある。

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