どんなにテクニックがあってもハートが入ってないと魅力的な音楽にはならない。歌心って大事だ。特にジャズ。
テクニックがないけど歌心で聴かせるジャズプレイヤーたち。
やっぱりマイルズ・デイビスが思い浮かぶ。ディジー・ガレスピーのテクニックがどうしても真似できなくて悩んでいた時、チャーリー・パーカーから「技術がなくてもお前らしいプレイができればいいじゃないか」みたいなことを言われて悟りを開いたエピソードは有名だ。(セリフはうろ覚え)
あとはチェット・ベイカーかなあ。トランペットもヴォーカルも全く「巧さ」を感じさせないけれどとにかく聴かせるよね。
歌心と超絶技巧を両立させるプレイヤーもいるね。
チャーリー・パーカー! クリフォード・ブラウン! ジョン・コルトレーン! ジョニー・グリフィン! キース・ジャレット! 思わずエクスクラメーションマークが付く。このあたりが僕の考える「神」だね。思い出せないだけで他にもいるよなあ。歳をとると固有名詞がなかなか思い出せなくて。ハハ。
管だとそもそも「歌心のない」プレヤーはいないか。
変わったところでベニー・ウォレスを思いついたけど、これはこれで歌ってるわな。別の次元?でね。
あるいはリー・コニッツ。
ポール・デスモンド。クールだけどちゃんと歌ってる。魂が入ってる。
ところがピアノとなると、必ずしも歌ってないプレーヤーが少なくないんだな。これが。
いや、文字通り演奏しながら歌っているかどうかじゃなくて(実はそれって歌心有無の判定に役立つけれど)、悪く言えば音を放り出しているというか、よく言えば音を理論的に構築している感じ。魂がこもってない。鬱陶しくない。すごくクールでドライ。
例えば大御所のビル・エヴァンス。彼のビバップピアノは、クールを通り越して冷徹で理論的なアドリブ構築だ。
チック・コリア。彼のソロも音を放り投げてくるね。
ハービー・ハンコック。意外と抽象的なソロが多い。泥臭い歌心はあまり聞こえない。すごくインテリジェントだ。Speak Like A Childは僕の大好きなアルバム。
ブラッド・メルドーもそうだ。かなり「アウト」で耽美的なソロを構築してくる。このMVはすごくメルドーっぽい。
トップ・ピアニストは歌心を出さなくても純粋に音楽で勝負ができるんだね。
でもジャズピアノ初心者は歌心がないと聴くに耐えないソロになってしまう。技術を伸ばすよりもハートを込める方が手っ取り早いから、出来るだけ歌心を込めて演奏したいものだ。