1923年2月27日生まれのバッププレーヤー。
思いつくままにジャズプレーヤーの生年月日を並べてみる。
- セロニアス・モンク 1917年10月10日
- チャーリー・パーカー 1920年8月29日
- バド・パウエル 1924年9月27
- マイルス 1926年5月26日
- コルトレーン 1926年9月23日
- スタン・ゲッツ 1927年2月2日
- ビル・エヴァンス 1929年8月16日
- ソニー・ロリンズ 1930年9月7日
興味深いリストだ。アメリカのジャズ界で先輩/後輩関係がどれほど意味があるのか知らないけど(「先輩!オス!」)、こんなスーパー・ヒーローたちが同時代にジャズを演奏してたとかそれだけで伝説的だ。
で、どうですかね。Dexter Gordonのイメージ。
確かにジャズ入門を読むと必ず出てくるプレーヤーだ。名盤も多い(とされる)。しかし、パーカー、コルトレーン、ロリンズの前では、若干地味な存在ではないだろうか。あるいはロリンズ以降のプレーヤーの方が目立つよね。例えば?ハンク・モブレー?ジョー・ヘンダーソン?スタンリー・タレンタイン?個性的なプレーヤー目白押しだ。
先日マウスピースのTip Openingを調べていたら(前の記事)、Dexter Gordonがかなり狭いマウスピースで吹いていると知った。そう思って改めて聴いてみると「確かに狭いマウスピースな気がするな」と思えるからいい加減なもんだね(笑)
感じたのは、奇を衒わない演奏、ということだ。アンブシュアが安定している。オーバートーンはほとんど使わない(これはまさに狭いマウスピースだからだと思う)。技術的に決して無理をしない奏法と言えるだろうか。
その結果、あの「男らしい」「豪快な」とも表現される単刀直入な演奏になるのだろう。この「男らしい」も「豪快」も、あまり適切じゃない気がする。僕なら「直球ストレート演奏」と呼ぶかな。
試しに採譜してみたら(速いフレーズが少なくてやりやすい)、やっぱりコードトーンとかアヴェスケベースの音が多い。使ってる音も「ど・ストレート」である。
奏法もストレート、フレーズもストレートだとつまらないかというと、全くそんなことはない。しみじみカッコいい演奏である。
それに古びないね。今その辺のジャムセッションでやっている演奏のお手本になると思う。奇を衒わないストレートなジャズだ。パーカーのビバップからコルトレーン、ロリンズとジャズのスタイルは色々あったけど「俺は俺だ」という自信が感じられる。大人のジャズである。何よりマウスが狭いのが親近感である(笑)
僕のテナーサックスヒーローの位置は、当面揺るぎそうにないのだ。