マウスピースには普通 2〜10の番号が振ってあって、マウスピースの先端の開き具合を示している。
数字と開き具合は業界で統一されているわけではなく、1.7mm 〜 3.5mmの間で各メーカーが恣意的に割り当てているようだ。(参考サイト)ちなみにこのAibayの 6番を測ってみると 2mm弱?程度(定規では測りにくい)。Otto Linkの 5番にも足りない。吹きやすいわけだ。
つまり、別メーカーのマウスピースだと数値を比較しても意味がない。試し吹きが大事、ということだね。
この開き具合の大小で、どう吹き心地が変わるか。だいたい皆さん想像がつくと思うんだけど、開き具合”小”なら吹き易くて音が小さい。”大”は吹きにくくて音が大きいということになる。
Youtube見てると、SAXチュートリアルの配信をされている先生方は、大抵”7″とか”7*”を使っておられる。一方僕は、Aibayの前はOtto Linkの”6″。Aibayは Otto Link換算”5弱”。何となく劣等感を感じてしまうのだ。上達したいなら道具をコロコロ変えてはダメだ。気に入ったモノを使い倒すのが一番!(安く済むし)。と、頭では分かってるんだけどね。早くマウスピースを次のレベルに上げたい!と焦る。人間だもの。
やっぱり上手い人は番号が大きいのを使うのだ。ということは番号が大きいマウスピースを使えば僕も上手くなるのではないか?(間違いと分かっていてもそう感じてしまう(苦笑))と思いながら調べてたどり着いたのがこちら。
この動画によれば、Coleman Hawkins、Lester Youngあたりはかなり小さい数字のマウスピースを使っていたとのこと。というか、昔はそんなにTipが開いたものがそもそもなかったらしい。
狭いTipでどうやって大きく豊かな音(beefy sound)を出すかというと、硬いリードを使ったんじゃないか、とこの人は推察している。まあ自然な推論だ。ただ、実際にHawkinsやYoungの生演奏を目の前で聴いたわけではないので、実際どんな音が出ていたかは分からないよね、とも。自然な考え方だ。
やっぱりTipの開きは関係ないという結論になる。音を大きくしたいなら、硬いリードを使いたまへ。
とはいえ、やっぱりHawkins, Youngともなると流石に古さを感じる。あのゆったりした感じがいいんだ、という意見あろうが、最近のジャムセッションではあまり流行らない。というか僕が目指したいヒーローではない。Bebopの時代はどうか。どうやらDexter Gordonのマウスピースは”5″くらい(1 inch x 0.08 = 2 mm)だったらしい。
RS Berkeley Legends Dexter Gordon Tenor Sax Mouthpiece
この記事の人も驚いている。Otto Linkの”5″クラスで、どうしてあんな太い音が出るんだ?ってね。
Stan GetzがOtto Link Rubberの”5*”とか、Sonny RollinsがOtto Link (Metalだろう) “10”を使っている情報は納得がいく。
ただ、現代のJazzの生き字引である小川隆夫氏がどこかで(探す時間がない)「ソニー・ロリンズって豪快なサックスの代名詞だけど、音が特段大きかった印象はない」と書いていた記憶だ。本当だったら(僕の記憶含め)面白い事実だね。Otto Link メタル “10”でも「特に大きいわけじゃない」音を出していた?何かがおかしい?
ということで、マウスピースのOpening度合いは関係ないぜ!という結論に持っていきたいんだけど、コレクションしたくなるよね。マウスピースって。参っちゃうな。