池袋Somethin’でご一緒した田中プロのライブに行ってきた。
音吉MEG
(ちょっと脱線)
2018年2月に閉店したジャズ喫茶MEGの後継店である。ジャズにハマったことのある人なら元MEGオーナーの「寺島靖国」という名前に覚えがあるはず。図書館のジャズ評論コーナーには必ず並んでいる。イーグルの後藤雅洋氏とかね。
イーグルには行ったことがある。そのうちMEGにも行ってみようかなと思っていたら閉店の情報が耳に入り、そうなると御常連やら準常連やらで賑わうだろう、一見の僕には敷居が高いと思って結局行かずじまいだった。
ジャズ喫茶とかジャズ評論って、実際にジャズを演奏する立場からすると別の世界に感じる。生楽器に触れて音を出す/聴くのが当たり前となれば、アンプから出る音のこだわりなど無いし(人によるだろう)、音楽も出来るだけ音符とリズムとして捉える。分析的に聴こうとする。ここで転調したか。とか、ここ変なスケール使ってるな。とか。こういう聴き方なら5,000円クラスのイヤホンで上等だ。
逆に全ての曲をそんな風に細かく聴けないから、アルバム全体を通してちゃんと聴くことはないし(これも人によるだろう)、曲を印象で語ることもしないし、できない。ジャズ評論や村上春樹のジャズエッセイを読むと、ジャズを通して自分語りしてるな、としか思えない。もちろん「それがイカン」という訳ではなく読み物として面白ければ、読む人をして「ジャズを聴いてみたいな」と思わせればそれでいいのだ。それがジャズ評論やジャズエッセイの値打ちだ。そういう意味では村上春樹のジャズ読み物はいいものである。
なんか話がずれたな。
オーダー
最後にギネスビール。写真忘れ。
演奏
田中利佳プロのピアノはやはり歌心が素晴らしい。
ピアノはハンマーで弦を叩いて音を出す楽器だ。演奏者がコントロールできるのはその一瞬しかない。いわば打楽器である。サックスやトランペットよりも歌心を出すのは難しい。でも、人によっては見事にピアノで歌えるんだよね。キース・ジャレットとかね。本当に不思議だ。田中利佳プロはピアノで自然に歌えるという稀有な才能を持っていると僕は感じた。聴きながらこっちも歌いそうになってしまう。
曲はオリジナルがメイン。一般にジャズミュージシャンのオリジナル曲というと奇を衒った強烈なコード進行とか変なメロディとか変拍子とか、聴いてて「お、おう・・」と困るような物も多いけれど(偏見)、田中プロの曲はどこか懐かしいというか日本の土壌に根差したというか、心に染みて歌いたくなる曲ばかり。一曲一曲エピソードも面白く、とても良かった。作曲なんて別にやろうと思えば誰だってできる(煽ってるわけじゃないよ。C Jam Blues参照)けれど、作った曲で語れるってのも才能である。
泉プロの演奏も良かった。正直、ベースってこれまであまり気にしたことなかったんだよね(失礼!)。ベース音って通勤電車の音にかき消されるし、音も取りにくいから。でもベースって曲全体を支えているのだ。非常に興味深い楽器なのである。これからはちゃんとベースを聴くべしと思った。
鈴木プロも良かった。繊細でクールなドラムだ。ドラムについてはあまり僕は語れないのが残念である。
皆さんセッションホストなどやっておられるし、フラッとジャムセッションにいらっしゃることもあるようだ。すなわちジャムセッションに行けば、素人でも素晴らしいプロの方と一緒に演奏できるのだよ!!!凄いでしょう。40過ぎてヨレヨレピアノヘロヘロサックスでジャズ始めた僕も、プロと演奏してるんですよ!ビビる必要はない!ジャムセッションに行こう!
CD購入
なかなか良かったのでCDを購入した。
今、ブログを更新しながら聴いている。ライブとは違って丁寧に作り込んだ感じだ。お洒落な雰囲気もある。「吹けば飛ぶようなラウンジジャズ」ではない。程よいパッションとノリがある。休日の朝のBGMに良い。
でも、田中プロの演奏はやはりライブが断然お勧めである。あのドライブ感と歌心は生ならでは。Chek It Out!なのだ。