両手で弾くことについて

「左手と右手で別のことをするなんてあり得ない」

だからピアノは難しい。敷居が高いやる気に慣れない、と聞いたことがある。

人の脳はシングルタスクである

つまり一つのことに集中するのが一番成果が出る。でも脳本人は「自分はマルチタスクだぜ(複数のことを並行してできるぜ)!」と思い込み、好きあらば仕事を並行して進めようとしてミスをしたり、全く成果を出せなかったりする。

なるべく一つのタスクに集中すべきだから「左手と右手を同時に、別々に動かすなんてあり得ない」という話になる。なるほど。

でも、ピアノを弾いてても、左手と右手でバラバラに違うことをしてる感じはしない。むしろ一つのタスクを両手でやってる。包丁を使うとかキーボードを打つのと同じだ。

あるサウンドを、両手で協業して生み出してるわけ。

難しい曲だと最初に左手と右手をバラバラで練習して、各々がそれなりに動くようになってから両手を合わせる必要はあるけどね。最終的には「一つのことを両手でやってる」意識になる。

ところがジャズ練習してると、

これマルチタスクじゃん(怒)無理じゃん(怒)

と思ってしまうね。

固定した運指なら片手ずつ仕込んで、両手を合わせて練習すれば、多少難しい曲でも(質とスピードはともかく)なんとか弾けるものである。

ジャズは違う。

コードは Em7 A7 D^7 だよ。左も右もお好きなように。

右手どうしよう、左手どうしようと思ってる間に破綻である。

左と右を個別に練習して合わせて、となると

それってもうアドリブじゃないじゃん、

となる。

だから、なかなか覚えられないんだよね。

多少音が多くても、楽譜が固定したクラシックは覚えやすい。(いや、そうでもないかな)

Em7 A7 D^7 というコードのみだけど、ジャズの曲を覚えるのは難しい。

鍵は技術と抽象化なんだよな、と頭では分かっているが、簡単に行かないのがジャズだ。

自粛期間、ずっとLullaby Of Birdlandの練習をしてきたんだけど、未だにちゃんと覚えて弾けないんだから。大変である。

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