最初のコード進行がいきなりクセモノである。言ってしまえば F マイナーの1-6-2-5なのだが、6が3度下なのでこれはナチュラルマイナースケールということになる。Abメジャーで考えると6-#4-7-3。#4 m7(b5)って迷うんだよねえ。割と出てくるんだけど。さらにさらに、7と3がドミナント7thだ。ここで続けるかと。その他は基本的にはAbメジャーのダイアトニックコード。でも、どのコードも味があって手を抜けない。それぞれがこの曲の雰囲気を構成しているのだ。
Bebopの曲なら多少ドミナント7thとマイナー7thを間違えたって全然ごまかせるのだが、この曲では違和感ありありである。難しいのである。
しかもコード進行が1小節で2回変わる。ピアノ弾きにとってはかなり忙しい。速さは二倍になる。 120 bpmだったら割とのんびりした曲だけど、実際には240 bpm。これはそこそこ速いビバップレベルだ。
自分の演奏を聴いてみると、左手の伴奏に6、7割意識が取られてるなあと思う。テンポを保って伴奏するだけで大変なのだ。アドリブは残り3、4割の意識で頑張ってる。時々パニクるし、あまり新しいアイデアも使えていない。
新しいアイデア出しにくいのはコード進行のせいもあると思う。切り替わりが速いので長いフレーズが組めない。頑張って長いフレーズを繰り出しても落とし前をつけるのに苦労する。下手をすればロストしてパニックである。
逆に言えば12キーで練習するにはよい曲である。例えば枯葉で12キー練習すると4度進行に特化し過ぎることになる。1625、3625がふんだんに含まれ、ドミナントが唐突に入ってくるこの曲を12キーで弾けることができれば、他の曲がだいぶ楽になるに違いない。