昔、読んだ忍者修行のエピソードである。
「ジャンプ力を鍛えるにはまず竹を植える。そのうちにたけのこが出てくるからそれを飛び越える。これを毎日やる。竹の成長は早い。じきに50センチを超え、1メートルを超え、ついには5メートルを超える。毎日竹を飛び越えていれば、いつの間にか5メートルの高さを飛び越えることができる」
なんだか説得力があるから面白い(説得力ないか)。現実にはありえない話で、どうしても才能と人間の限界にぶつかる。人間がいくらでも高く飛べるわけがない。人間だもの。
でもね。ピアノの練習って実はこれに近いものがある。例えばある曲を60bpm(分あたり60拍)で練習する。ある程度弾けるようになったら、これを61bpm。62、63と上げていけば、最終的には300bpmで弾けるようになる、とまあこれはちょっと大袈裟だが、忍者修行よりありえない話ではない。
例えばOleoを60bpmでジャストタイムで演奏できたとしよう。ならば80bpmは楽勝である(むしろ60bpmよりも楽かも)。80bpmが弾ければ120bpmは余裕である。この調子で180bpm、いや200bpmまでイケると思う。
逆にいきなり180bpmから練習してしまうとかなりの遠回りになる。下手をすれば一生まともに弾けない。本当だから恐ろしい。楽器学習の罠である。まずはきっちりゆっくり弾く練習。これを避けてはいけないのだ。