「ドーナツの穴はドーナツの本質的な構成要素か否か」という議論を「ドーナツ論争」という。この問題のポイントは「議論の結果に関係なく、ドーナツは美味い」である。
アドリブにおけるドーナツ論争とは「仕込みや手グセはアドリブと言えるかどうか」の議論であり、議論の結果はともあれ良いアドリブは良いアドリブだ、という結論が出ている。
だったら別にいいんじゃないの?という話で、あとは好き嫌いである。キース・ジャレットやデクスター・ゴードンのようなその場のインスピレーション(酔余のひらめき)にかけたアドリブが好みの人もいるだろうし、事前にある程度の構成と決めのフレーズが準備されたアドリブを好む人もいる。
ただ、ジャズ初心者がアドリブに取り組んでいると、別の角度から「事前にフレーズを仕込むか仕込まないか」問題を考えざるを得ない。アドリブ当事者として、仕込みフレーズを使うのかどうか、問われるわけだ。
何も考えずに仕込んで「わーいわーい」と演奏するのが一番いいのかもしれないけれど「果たしてこれが俺のやりたかったジャズなのか?」などと考え込んでしまう面倒臭い人もいるわけだ(僕です。
何度も書いてるがジャズ初心者に楽器初心者となるとフレーズ仕込むのも一苦労である。数週間かけて何度も何度も練習してようやく身につけたフレーズを披露する。こんなのアドリブじゃないよね。
と思っていたのだが、最近ちょっと考え方が変わってきた。仕込んだフレーズをきっちり出せるかどうかも技じゃなかろうか。また自分であれこれフレーズを仕込むんだりアレンジするのは勉強になるんじゃないだろうか。
何より、Youtubeにずっと「アベスケ当てゲーム」をアップロードし続けるわけにもいくまい。そんな風に思ってきた。