日本のジャズ

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Spotifyに「日本のジャズ」というプレイリストがある。正直何かきっかけがないと金を払ってまで聴く気にはならない日本人ジャズである。「ほう、どれどれ?」とワンクリックで、しかもいろいろなアーティストの曲をつまみ食いできる。Spotifyの素晴らしいところだ。

面白いのはやはりどの演奏からも「日本らしさ」を感じられるところだ。気のせいでも、先入観でもない。アメリカのジャズだってイースト・コーストとウェスト・コーストで雰囲気が違うし、ヨーロピアンジャズも違う。同じ時代、同じ地方でも人種によってジャズサウンドは違う。ジャズってやっぱり「血」のレベルで表現が変わるのか。たかだか12音の組み合わせなのに実に興味深い。

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日本ジャズとは何か。当たり前だがそんなもの一言で表せるものではない。山下洋輔、渡辺貞夫、穐吉敏子を十把一絡げに評価できるものか。しかし何となく彼らを「日本ジャズ」として括れるのような気もするのが不思議なところだ。

そんな漠然とした「日本ジャズ」を聴きながら連想する言葉は「繊細」「クレバー」「勤勉」辺りになるだろうか。キレイ目日本ジャズもヨーロピアンとは違うし、ブラックな日本ジャズも黒人のそれとは異なる。

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個人的には穐吉敏子はすごく日本ジャズだよな、という印象だ。日野皓正は日本レベルを超えているようで、やっぱり日本ジャズを底に感じる。山下洋輔しかり、ナベサダしかり。面白いものである。

このプレイリストの一番の収穫は福居良であった。恥ずかしながら今の今まで知らなかったアーティストである。日本人がピアノトリオでここまでジャズできるのか!と驚いた。しかもJazzyなブラック風からヨーロピアン風まで自在ではないか。面白いのがリズム感である。ビル・エバンスの神経質なジャストタイムでもなく、エロール・ガーナーのような大胆なレイドバックでもない。実に繊細なレイドバックが感じられる。アドリブも過度にテクニカルではなく楽しく歌っている。仕込み感が薄い。しかもこの人、幼少からピアノを練習していたわけではないらしいから更に驚きである(Wikipediaより)。なぜこの人を知らなかったのか。自らの無知を恥じてしまうのだ。

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