街とその不確かな壁

発売日に買って2日で読了した。露骨なネタバレはしないが、ストーリーに踏み込んだ感想を書く。

結論。期待通りの面白さだった。次の長編も読みたいと強く願う。「村上春樹はもうダメになった」とはならなかった。嬉しい。

最初の10ページほど、少し文章が固く、頭に入ってこない感覚があった。村上作品には珍しいことだ。それでも3、40ページほど進むと頭が文章に慣れたのか(主観的要因)、あるいは文章に勢いがついたのか(客観的要因)、一行一行が確実に頭に入ってくるようになった。

しかしいまいち没頭できない。既視感、既視感、そして既視感。

ああ、これ、前に読んだやつだ・・・。「国境の南 太陽の西」などの過去の恋愛系中長編ベースに「世界の終りとハードボイルドワンダーランド」が絡む。途中「ノルウェイの森」テイストが濃くなる。参ったな。複数の小説の焼き直しじゃないか。。村上春樹も焼きが回ったか・・・。

ちょっと憂鬱になりながら第一部終了。ここまで「世界の終りとハードボイルドワンダーランド」ということは、ここからは「世界の終りと・・・」の続編(の一つの解釈)じゃないか!

そこからは「巻を置く能わず」で一気に読了。

それなりに書きたいことはあると思っていたが、まだ感想がまとまらないようなのでここまでとする。考えてみれば「騎士団長殺し」の感想もろくにまとまっていない。さっと読んでパッと感想を書けないのも村上作品の特徴だ。全体として統一はされているようで、個別の幻想的イメージを言語化できないのだ。だいたい「騎士団長殺し」が傑作なのかそうでもないなのか、今でも分からない。駄作ではないことは間違いないのだが。

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